アワード
第8回 新千歳空港国際アニメーション映画祭のコンペティション部門ノミネート作品のなかから、国際審査委員による厳正な審査を行い、各賞を決定いたしました。
Easter Eggs
中華料理店はもぬけの殻。ピンさんもいない。エキゾチックな鳥の檻が大きく開いている。何が起こったのか誰も知らない。二人の友人、ジェイソンとケビンは、これは鳥を捕まえて大金で売る絶好のチャンスだと考える。しかし、それは、それほど簡単なことではない...。
監督 : Nicolas Keppens
ベルギー・アールスト生まれ。2012年にKASKを卒業し、短編アニメーション映画「Superstars」を制作。ブリュッセルのLuca School of Artsのフィルムアカデミーでも学ぶ。自身のプロジェクト以外にも、スタジオ・ハンス・オプ・デ・ビークのプロダクション・マネージャーとして、『Night Time』、『Staging Silence』など、さまざまなプロジェクトの制作、アニメーション、編集を担当している。
- 受賞理由
- 計算されたシナリオを、抑制された動きとフレームの中で、絵を使って物語る。選び抜いた色の構成で見せる画面は、絵としての美しさを保ちつつ、それが描かれたものであることを観客に意識させることで、批評的客観性を持って、映画と対峙させる力を持っている。情けない日常、取り立ててドラマを持たないようなささやかな出来事を、大変洗練された上品な演出とビジュアルによって、映画的な幻想のレベルに押し上げた。
[VR] Replacements
ジャワの家族とその近所を、日常的に観察する。世代を重ね、入れ替えを繰り返している様子が描かれていく。ルーツ、時間、変化についてのVRストーリー。
監督 : Jonathan Hagard
フランスとインドネシアのハーフで、京都を拠点に活動する映画監督、アニメーター、イラストレーター。東京やジャカルタなどの広大な都市での経験や調査に基づき、伝統的なアニメーションと新しいメディアを使い、ドキュメンタリーとフィクション・アニメーションの狭間で、物語を語る。
- 受賞理由
- 観客の位置は変わらないが、周りの環境は徐々に変化し、最終的に全部置き換えられる。作者は時代ごとの特徴をよく調べ、建物から小道具まで丁寧に描き、時代の変化や人々への影響をさりげなく示した。背景の変化によって、ここに住む家族や隣人たちは何を経験したのか、この国が何を経験したのか、常に連想させる。写実的なタッチで淡々とした日常、過去への郷愁、そして時代と対抗できない小さな個人であることの無力さを表した。
The Fourth Wall
家、家族、関係、欲望、願い……すべてはキッチンに集約されている。吃音の少年はそこで一人、想像力を働かせて遊ぶ。
監督 : Mahboobeh Kalaee
1992年、イラン生まれ。テヘラン芸術大学で工業デザインの学士号を取得(2015年)。テヘラン芸術大学(映画・演劇学部)でアニメーション演出のMAを取得(2020年)。2Dアニメーター、ライター、イラストレーター、グラフィックデザイナーであり、いくつかの短編および実験的なアニメーションの監督でもある。
- 受賞理由
- 自由で豊かな表現で構成された作風はネガティブにもなりそうな題材を重い空気にならずに描ききっていて、勢いと技術の融合も見事に作品の魅力となっていて、粗けずりな部分もとても好感が持てる作品でした。
Hide
二人の少年がかくれんぼをしている。一人は完璧な隠れ場所を見つけて....決して出てこない。その外では、生活が続く。
監督 : Daniel Gray
イギリス出身のダニエル・グレイ監督は、国際的にその才能が認められているアニメーション監督・脚本家。卒業制作『T.O.M.』は、サンダンス、オタワ、アヌシー、BAAなど国際映画祭で数々の賞を受賞。その後の『TEETH』はさらに高い評価を受け、40以上の映画祭で上映され、アヌシーやSXSWなどのトップイベントでも賞を獲得した。
- 受賞理由
- アニメーションという時間を創作するメディアで、特殊な時間を表現し、体験させる作品。その時間構造は、重層的であり、横断的であり、入子状にもなってもいる。また「認識する」ということ自体に対して考えさせられる点も興味深い。限られたスペース、限られた時間、限られた視聴覚情報で、人生を理解し、認識したと思っていても、その限界の外側はどこまであるのか、知る術はなく、メタ認知の可能性はどこにあるのかも考えさせられた。
骨噛み
父親の葬式で、少女は父と過ごした最後の夏を思い出す。日本のとあるちいさな島でのいとなみ。
監督 : 矢野ほなみ
瀬戸内海島生まれ。ロードアイランドスクールオブデザイン交換留学、京都精華大学卒業。2017年東京藝術大学大学院映像研究科修了。同大学院にて助手を3年務め、現在名古屋大学未来社会創造機構特任助教。
- 受賞理由
- 色彩や手法が印象的で、物語に寄り添いながら丁寧に大胆に描かれていた今作は、何度も議論の対象として上がって、審査する中でいい意味で悩ましく、今年の映画祭のコンペティションでは台風の目とも言える作品でした。
Steakhouse
ステーキは数日前から漬け込んだ。フライパンは十分に熱した。フランクのお腹が鳴っている。だが、リザの同僚が、彼女の誕生日パーティーをサプライズで開いてくれてしまった。果たして彼女は時間通りに帰れるのか?
監督 : Špela Čadež
アニメーション監督で、スロベニアのリュブリャナにある Finta Studio の共同設立者。彼女の作品は、世界中の映画祭で100以上の賞を受賞し、サンダンス映画祭、クレルモンフェラン、アヌシーなどのコンペティション部門で上映されている。アナログの熱烈な支持者であり、パペットや切り絵のアニメーション技術を用いた作品で感動を与えてきた。2018年、アメリカ映画芸術科学アカデミーの会員に招待された。
- 受賞理由
- 繊細な仕草とやさしい絵柄によって、その裏にある恐怖を、緊張感に満ちた演出で見事に描いている。作者は極端な物語を通して、カップルの間にしばしば存在する普遍的な矛盾を端的に表した。支配欲と独占欲、相手に対する怨み、自虐行為、そして女性による秘密の復讐。人間の怖さ、家庭に潜む暴力を力強く表現した。
Orders
2004年4月、金曜日、ピークタイム。ここはアメリカのどこか。電話が鳴っている。電話の向こうの声が話す――「盗難の報告が入った」。
監督 : Aleix Pitarch
2002年にスペインのESCACを卒業した後、ミュージックビデオや短編フィクション映画の監督を始めた。また、編集者、アニメーター、映画作曲家としても活躍している。
- 受賞理由
- 見えない世界をビジュアル化するアニメーションは多いが、見えないことを見えないままに語る「非視覚化」という、アニメーションにとって逆説的でもある挑戦をしている。しかもアニメーション的要素を最小限までに削ぎ落とした引き算の表現によって、多くのことを想像させ、出来事をより緊張感を持ってリアルに理解させる。セクシャルハラスメントの問題にとどまらず、権威に従ってしまう人間の恐ろしさ、それに伴う責任のあり方など、より幅広い社会的メッセージとメタファーを含有する。様々な思考を刺激する実験的な創作を成し遂げた作品であるが、作品の内容そのものは、トラウマ・ポルノになる可能性もある両義的な存在でもあり、その点は評価が難しい。しかしながら作者の創造性の高さに対して、スペシャル・メンションを与えます。
シチリアを征服したクマ王国の物語
とおいむかしのこと、いただきが氷でとざされた高い山に住むクマたちの王レオンスの息子トニオがハンター達によって捕えられてしまう。王は我が子を救出するべく、厳しい冬の飢えと寒さからクマ達を引き連れ、人間が住む平地を目指し山を降りていく。行く手に待ち受けるのは残忍な大公や、化け猫、人食い⻤。ゆうれいもいれば魔法使いもいる。突き進むレオンス王は戦いの末、その国の王として、クマと人間が共存する太平の世を迎えた。クマと人間の共存はやがて――。
制作プロダクションは故・⾼畑勲⽒がアーティスティック・プロデューサーを務めたことで知られる『レッドタートル ある島の物語』を⼿がけたプリマ・リネア・プロダクションズ。2022年1月14日、全国順次公開決定!
監督 : Lorenzo Mattotti
イタリアのコミックアーティスト、イラストレーター。その作品は「ヴォーグ」、「コスモポリタン」、「ザ・ニューヨーカー」、「ヴァニティ・フェア」、「ル・モンド」など多くの雑誌に掲載されている。2003年にはグラフィックノベル「ジキル博士とハイド氏」がアイズナー賞を受賞。本作は、自身初の長編映画である。
- 受賞理由
- 私たちは一つの大きな物語の中を生きているわけではなく、一人一人に物語が独立していて、それらが交差して響き合って存在しているのだと思います。 しかし、私たちが人類の歴史を振り返るとき、国ごとに集約された大きな一つの物語になってしまいます。 私たちは、その集約された大きな物語を丁寧にほどきながら、そこに存在する物語の一本一本の糸を見出していくことで、多角的に歴史に向き合い、そして、初めて他者を理解することが出来るのだと思います。
幾多の北
北はどこの北も淋しい 此処はどこも北なのだ これから話すのは、私が北で出会った人々の記録だ ただ記憶は断片的で、まったく要領を得ない 今はこれが徒労ではないかと焦り始めている 胸の鈍い痛みが 少しずつ形を変えては 時折世界の実存を認識させられる
監督 : 山村 浩二
1964年生まれ。1987年東京造形大学卒業。 90年代は子供向け作品を制作。「頭山」(2002年) が第75回アカデミー賞にノミネート、アヌシー、ザグレプ他6つのグランプリを受賞、「今世紀100年の100作品」の1本に選出される。「カフカ 田舎医者」 (2007年) がオタワ他7つのグランプリを受賞、アニメーション作品の受賞は100を超える。世界4大アニメーション映画祭すべてでグランプリを受賞した唯一の監督。2021年、過去25年間の優れた世界の短編監督25人のトップ2に選出。川喜多賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞、紫綬褒章受章。映画芸術科学アカデミー会員(米)、ASIFA日本支部理事、日本アニメーション協会副会長。東京藝術大学大学院映像研究科教授。
- 受賞理由
- 焦点が定まった詳細な様子とそれにピタリとマッチするリズム。なるほどなるほど、と思ったのは束の間、グッとその様子が俯瞰されると一瞬前に見たはずの出来事が全く分からなくなる。長編アニメーションの多くはしっかりとしたストーリーを軸に、詳細なエピソードが散りばめられている。その詳細が大きなストーリーを濃密なものにしてゆくとするなら、この作品ではまるでその逆である。目を凝らして見た細かなディティールは、どこかで繋がっているようでいながら、そもそもなんの関係もないのかもしれないのだ。ただそれが何だか楽しい。のは、私だけではないはずだ。インパクトのあるビジュアルがどこか不穏でユーモラスな旋律と共に瞬く間に変化し、目を離させない。「長編」の重要な要素であるはずのストーリー性からの逸脱という挑戦が、その新しいあり方を提示している。
Butterfly Jam
若い女性が、父親について、そして父親が世話をしなかったペットとの関係を語る。家族がバラバラになっていくなか、動物たちは次々と死んでいく。
監督 : Shih-Yen Huang
1990年、台湾生まれ。フランスを拠点に活動。10年以上にわたりアート・ビデオと油絵を実践・研究。ドローイングやアニメーションを通して、物や空間に残る記憶の痕跡に焦点を当てつづけている。
- 受賞理由
- アニメーションの表現で「メタモルフォーゼ」というものがあります。形状が次々と別の形状に変化していく表現のことです。その変容していく様は、視覚的な喜びを感じさせるものだったりします。人生も常にメタモルフォーゼしていきます。私たちの姿も、周りとの関係も、暮らしている街並みや社会も。それは、留めることができない無常さも感じさせます。メタモルフォーゼは、喜びだけではなく切なさも内包しているのだと思います。この作品は、変容していく人生の中で、変わらずに問題が残り続ける残酷さを浮き彫りにしています。
Love is Just a Death Away
朽ち果てた土地でも愛を見つけることができることについての、優しい物語。
監督 : Bára Anna Stejskalová
チェコ共和国のプラハ芸術アカデミーのアニメーション・コースで学ぶ。卒業制作の『The Fishermen』はBAFTAの最終選考に残った。2018年のバーニング・マンで名誉奨学金を得たプロジェクト『HEARDT』の共同制作者。
- 受賞理由
- ハラハラドキドキと主人公を応援しながら、細かく作られたグロテスクな世界でのロマンチックなストーリーに引き込まれました。
Czarodzielnica
森の中の家に、生き生きしたダイナミックな自然が侵入し、静かな夜に不安な雰囲気をもたらす。月明かりは、家族の秘密を照らすのか?
監督 : Klaudia Ptasińska
1995年生まれ。クラクフのヤン・マテイコ美術アカデミーで舞台美術を専攻。ウッチのフィルムスクールやクラクフのAMAフィルムアカデミーとの協定で、それらの学校が製作する映画の舞台装置や衣装デザインにも参加した。ポーランド国内や海外のグループ展で作品を発表。
- 受賞理由
- 丹念にカット割りされ、ロトスコープを使った少ない表情のアニメーションで、それぞれのおかれている関係性の現状と、過去、未来も読み取らせつつ、音楽の高揚感と、物語での高揚感がリンクして、音楽を聞きつつ、物語を味わうことに成功している。
クツの中の石
ある生徒が転校してきました。この生徒は他の生徒とは違います。ウサギのクラスにやってきたこの子は、カエルなのです。
監督 : Eric Montchaud
エリック・モンショーは1999年にヴァランスにあるラ・プードリエール・アニメーション・スクールに入学、コマ撮りの技術を学んだ。卒業作品『Les Animals』や自主制作作品『The Smell of A Wet Dog』はアヌシー、クレルモンフェラン、広島といった映画祭で成功をおさめた。エリックはその後主にコマーシャルのフィールドでコマ撮りアニメーターとして活躍している。また、ミシェル・ゴンドリーの『恋愛睡眠のすすめ』や『ムード・インディゴ』のアニメーターの一人でもある。2015年には、2本目の短編映画「Anatole's Little Saucepan」を完成させました。この作品は、Isabelle Carrierの児童書を映画化したものです。JPL Filmsが製作したこの作品は、アヌシー映画祭の観客賞をはじめ、多くの賞を受賞した。
Two Sisters
幸せな双子の姉妹、ルージュとブランシュは平原に住んでおり、友好的ではない森に近づくことを恐れている。しかし危険は、別の場所からやってくる。
監督 : Anna Budanova
2008年、ウラル国立建築芸術大学グラフィックアート学科修士課程(アニメーション映画専攻)卒業。
Statues Game
中国のだるまさんがころんだゲームでは、文字を書いているあいだ他の人は動けて、書き終えた後は動けない。その時、彼には世界が静止しているように見える。もし、ゲームをしているうちに静止した世界に閉じ込められてしまったとしたら、彼はどうするか?私たちは常に時間をコントロールしたいと願う。最も留まりたい瞬間を楽しみ、永遠の喜びを味わい、直面したくない問題を回避したいと常に願っている。しかし、世の中は子供の頃の遊びのように単純にはいかないもの。時間は川の流れのように進み、1コマでも理由をつけて止まることはない。今をつかみ、前に進むことが、私たちが生きていくための唯一の方法なのだ。
監督 : Hong Xiao
上海を拠点とするプロのイラストレーター、アニメーター、GIF作家。昼間はデザイナーとして働き、空いた時間には自分のショートフィルムやイラスト集を作っている。彼の好きなテーマは子供時代で、子供時代を迫真的に描くことこそ、大人の内面的な強さを刺激する方法だと信じている。その時期は人間の成長の基礎であり、人生の中で最も可能性のあるステージだからだ。
- 受賞理由
- 簡潔なアートワークと緻密な物語の相乗効果によって、繊細な叙情性を達成しています。結末には心が洗われました。とても前向きな気持ちにさせてくれます。
Flowing Home
ベトナム戦争後に離れ離れになった2人の姉妹の物語。妹のThaoは15歳。彼女はボートでベトナムを脱出し、マレーシアのプアルビドン島にある難民キャンプに向かう。姉のSao Maïは17歳。彼女は両親と一緒にベトナムに残り、孤独の中で過去の亡霊と暮らしている。手紙を書きあう関係が15年以上にわたって二人の人生を支える。物語は、二人が再会するまでを描く。
監督 : Sandra Desmazieres
1978 年生まれ。パリの国立応用美術学校と国立高等装飾美術学校で学び、そこでアニメーションに出会った。学校で制作した『WITHOUT HEAD NOR TAIL』は、2003年にゴールドカートゥーン賞を受賞。2008年には『LE THÉ DE L'OUBLI』、2011年にはLes Films de l'Arlequin製作の『BAO』を監督。青少年向けのイラストレーターとしても活躍している。
- 受賞理由
- この物語は、歴史上にたしかに存在した具体的な時代と場所を舞台としながらも、普遍的なメッセージに開かれています。作中にて描かれる亡霊たちの在り方は、まるで愛にも呪いにもみえます。
はやく学校に戻りたい
コロンビア・ボゴタ、公立学校に通う小学2年生の子どもたちの声とバーチャルな絵を集めた、アニメーションによる冒険です。パンデミックの中、子供たちはアニメーションという形で学校に戻ってきます。パンデミックによって誰もいなくなり荒れ果てた学校が、一晩だけ生き返ります。描かれた絵は学校内を駆け巡り、お互いに出会い、共有し、夜明けまで遊びますが、太陽の光がやってくると、その存在は消えていきます。
監督 : Angel David Hurtado Orozco
アーティスト、アニメーター、映像作家。集団的創造、教育、研究に情熱を注いでいる。ボゴタのジャベリアナ大学を卒業。キャリアを通じて、ラテンアメリカの文脈の中でイメージを問題化し、分析するプロジェクトに取り組んできた。彼の芸術的追求は、芸術の政治的な力と変革の力を中心に行われ、その作品は、世界中の多くの国内外のフェスティバルで上映されている。
- 受賞理由
- 困難な状況のなかにあってもよどむことない、子どもたちの奔放な想像力に、胸を打たれました。それと同時に、子どもたちが失ったものを想い、切なくもなります。
おうふくにくふうお
回文とは、上から読んでも下から読んでも音が変わらない文章。確かに音は同じだが、違う意味になったり、ならなかったり。そんな不思議な詩の世界を描き出す。
監督 : 阿部 優花
1997年札幌生まれ。2020年札幌大谷大学芸術学部美術学科メディア表現領域写真・映像専攻卒業。2021年現在、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻在籍中。
- 受賞理由
- 踊るようなピアノの旋律に導かれて、浮遊する体を与えてくれる。あらゆるものに意味を求める窮屈な私たちに送られる、意味などいらないアニメーションの冒険です。
わたしのトーチカ
潜水服は、水中の世界の中で唯一ボンベがないと生きられない。我侭な女の子や複雑な家庭環境の友人に囲まれながら、平穏な日々が壊れないよう、どんなに息苦しくても見て見ぬ振りをしていた。
監督 : 石舘 波子
1990年東京生まれ横浜育ち。2013年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業後、5年間アニメーターとして勤務。2021年東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。
- 受賞理由
- どうして私たちは、どうしようもなく「つながり」をもとめ、そうして傷つくのでしょうか? 本作が示す希望はきわめてシリアスです。しかしながらそれゆえに、孤独と向き合えるよう、そっと背中を押してくれるはずです。
古代戦殻ジェノサイダー 第22話OPED次回予告(再放送)+CM集
2019年4月に一部録画が奇跡的に発見され、OP・EDが公開された80年代末の幻のテレビアニメ「古代戦殻ジェノサイダー」ですが、その後の捜索で完全版OP・ED・次回予告とエンドカードが収録された録画とTVゲームのCM2つが新たに見つかりました。 今回発見されたCMはOPEDとは別のテープから見つかったものをOPの後に編集して入れてあります。本編を見る機会は当時から貴重でしたが、何故かゲームは沢山出ていたのでゲーマーな方の中にはご存じの方もいらっしゃるかもしれません。 という設定で作った自主制作アニメです。
監督 : 細川 晃佑
1987年生まれ。 神奈川県立弥栄東高校普通科美術コース卒業後、東京工芸大学芸術学部アニメーション学科卒業。 1ヶ月ほどアニメ動画下請け会社で勤務したのちに郵便局で働きつつ映像業界入りを目論んで自主制作アニメの制作に取り掛かるがこの作品の制作に想定の10倍の10年という歳月を費やしてしまった。
- 受賞理由
- 驚くようなユーモアのセンスで、大いに笑わせてもらいました! と同時に、ユニークなアイデアに説得力を与えるための細部のつくり込みには、大変感心させられました!
或る日 (2020, 2021)
2020年のある日の出来事。
2021年のある日の出来事。
監督 : 大前 奨平
アニメーション作家 / イラストレーター
https://www.ohmaeart.com/
- 受賞理由
- 日常のひと幕を切り取ったようでありながらも、不思議な非日常が不意に顔をのぞかせる。そんな、日々に魔法をかけてくれるような、ユニークな世界観がとても魅力的です。
骨噛み
父親の葬式で、少女は父と過ごした最後の夏を思い出す。日本のとあるちいさな島でのいとなみ。
監督 : 矢野 ほなみ
瀬戸内海島生まれ。ロードアイランドスクールオブデザイン交換留学、京都精華大学卒業。2017年東京藝術大学大学院映像研究科修了。同大学院にて助手を3年務め、現在名古屋大学未来社会創造機構特任助教。
- 受賞理由
- 寄せては返す波のような、みずみずしいアニメーションは、頬をなでる潮風や遺骨の匂いまでも、ありありと感じさせます。それはまるで、幼い頃の記憶がよみがえったかのようでした。
駐車場でアメを食べたね
結婚式を目前に控えたミヨは、招待していた親友に絶交されてしまう。 友情には賞味期限があることを知ったミヨは、幼く愉快だったあの頃に思いを馳せる。
監督 : 関口 和希
1991年東京生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科、東京藝術大学大学院アニメーション専攻卒業。 柔らかい描線で描かれたキャラクターによる手描きアニメーションを制作している。
- 受賞理由
- 私たちはいったい、いつ「大人」になるのでしょうか? それは同級生のことが幼稚に思えてならなくなったとき? それとも友人と疎遠になったとき? あるいは新しい家族をもったときでしょうか? きっと、そのすべてが私たちを「大人」にするのでしょう。だからこそ、この物語はこんなにも切なく響くのです。
CHERRY AND VIRGIN
商業エロマンガ家の男・本田遼と、BLイラストを描く同人作家・榎元亜美。アラサーで恋愛未経験者同士がマッチングアプリで出会い……。遼はモノクロ漫画タッチ・亜美はカラーのイラストタッチ。キャラクターデザインは登場人物各々の絵柄で登場する、一風変わったアニメーション映像で語る恋愛コメデイ映画。(全年齢向け)
監督 : 川尻 将由
1987 年生まれ、大阪芸術大学映像学科卒。 アニメスタジオ・ガイナックス、吉祥寺トロンに勤務後、映像制作会社ねこにがしを起業